低分子化フコイダン療法のご案内

低分子化フコイダン療法とは

フコイダンとは、1913年にスウェーデンの科学者H・Z・キリンによって発見された成分です。モズクやコンブ、ワカメといった褐藻類の海藻から抽出したぬめり成分の一つです。フコイダンは、抽出する海藻によって構造が異なります。
「低分子化フコイダン」の原料となっているフコイダンは南太平洋のトンガ産のモズクから抽出しています。 抽出したフコイダンを特殊な酵素で分解し、20~80万だった分子量を500以下まで低分子化します。

低分子化フコイダンによる三大作用

現在わかっている、低分子化フコイダンの持つがんに関する作用は大きく分けて三つあります。「アポトーシス作用」「血管新生抑制作用」「免疫力強化作用」です。

アポトーシス作用(効果)とは

私たち人間の身体は、60兆個の細胞で構成されています。 そして、その細胞は新陳代謝によって常に新しい細胞ができ、古い細胞が死んでいき入れ替わることにより60兆個が保たれている訳です。
正常な細胞は、一定期間を過ぎると自らが死を選んで死んでいくように遺伝子の情報の中に組み込まれています。 このように細胞が「自ら死を選んで自滅していく作用」のことを「アポトーシス」と言います。
しかし、身体には死ななくなった細胞が増殖することがあります。 これが「がん細胞」です。がん細胞はほとんど死ぬことがなく、増え続けるのです。ですからがん細胞が「増殖・転移」し身体を侵していくのです。 と言うことは、がん細胞が正常細胞の同様「アポトーシス」つまり「自ら死を選んで消失」してくれれば、何ら怖がるに値しないものになります。
がん細胞を死に追い込む物質、それが「フコイダン」なのです。フコイダンでがん細胞が、自ら死を選んで自滅でいくと言う訳ですから、本来考えられない現象です。
フコイダンがあなたのがん治療の助けになります。

正常細胞にはダメージを与えないことの実験

正常細胞に低分子化フコイダンを与えても、まったくアポトーシスを起こさないことがわかりました。このことから正常細胞への毒性はないとみなすことができ、細胞全般にダメージを与える抗がん剤のような副作用は起こりません。

がん細胞にはアポトーシスを起こすことの実験

がんの一種であるヒトの白血病細胞(HL60)に低分子化フコイダンを加えてみると、アポトーシスを誘導することがわかりました。

血管新生抑制作用とは

がん細胞というのは非常にタフであり、したたかです。増殖していくためには細胞自身に多くの栄養が必要になります。これを得るために、がん細胞は自ら血管を作ります。これを「新生血管」といいます。
がん細胞は新しい血管を伸ばすことで、増殖のための栄養補給路を確保していくわけです。そのため、体の中に悪性腫瘍というポケットができた状態になり、患者さんの体に十分な栄養が行き渡らなくなります。いつもどおりに食事をしていても、やせ衰えていく場合が多々あります。体力がなくなっていけば、がんの増殖に対する抵抗力も奪われていきます。

がんの増殖を防ぐためには、栄養の補給路である新生血管を作らせないことです。栄養が運ばれなくなれば、自ずとがんの勢いも弱まり、「壊死」の状態に近づいていきます。

血管新生はがん細胞が血管の成長を促進するVEGF(血管内皮細胞増殖因子)を分泌することによって起こります。しかし、低分子化フコイダンをがん細胞に作用させると、VEGFの発現を明らかに抑制している働きが確認できました。
図は子宮がん細胞に低分子化フコイダンを加えて、VEGFの量を調べたものですが、低分子化フコイダンを加えないものと比べ、有意にVEGFの発現を抑えていることがわかりました。 さらに、低分子化フコイダンはVEGFの抑制だけでなく、血管の形成を抑制することもわかっています。

抗がん剤(シスプラチン)と低分子化フコイダンによる正常細胞へのダメージの検証実験

シスプラチンは数多くのがんに有効性が認められているプラチナ製剤で、現在の抗がん剤治療の中心的な役割を果たしています。しかし、激しい副作用があり、深刻な場合は腎臓機能に障害をもたらします。抗がん剤シスプラチン単独の場合はヒト正常線維芽細胞(TIG-1)を死滅させるのに比べ、低分子化フコイダンを加えると正常細胞へのダメージを抑制する作用があるということがわかりました。
つまり抗がん剤の副作用を抑える効果があるということです。

抗がん剤(シスプラチン)と低分子化フコイダンによるがん細胞への相乗効果の実験

HT1080(ヒト線維肉腫由来細胞株)に濃度を変えたシスプラチンと低分子化フコイダンを加え、がん細胞がアポトーシスを起こす割合を調べてみました。すると、低分子化フコイダンを加えていない場合に比べ、2倍強のアポトーシス誘導作用があることがわかりました。
つまり抗がん剤に低分子化フコイダンを加えることで抗がん剤の効果を増強するということです。

コンカナバリンAとは

フコイダン処理を施したがん細胞の細胞表面糖鎖がどう変化するかを様々なレクチンを用いて調べていたところ、コンカナバリンAというレクチンだけが、非常に強力にフコイダン処理後のがん細胞の細胞死を誘導することがわかりました。
コンカナバリンAは特定の糖に結合する性質を持つレクチンとよばれるタンパク質であり、唯一ナタマメだけに含まれる特有の成分です。
HT1080(ヒト線維肉腫由来細胞株)に低分子化フコイダンだけと低分子化フコイダンにコンカナバリンAを加えたもので、どちらがより細胞死を導くかを比較する実験を行いました。また、その際に低分子化フコイダンの濃度を変えその変化も同時に確認しました。

その結果、低分子化フコイダンだけよりも低分子化フコイダンにコンカナバリンAを加えたものの方がより細胞死を導くことがわかりました。

コンカナバリンAはナタマメだけに含まれる成分であるため、このナタマメのエキスを抽出し低分子化フコイダンに加えました。
そして低分子化フコイダン単独のものと細胞死誘導効果についてTIG-1(ヒト正常線維芽細胞)とHT1080(ヒト線維肉腫由来細胞株)について比較実験を行いました。
この実験では細胞の呼吸活性について計測していますので、数値が少ないほど細胞死が多くなります。

がん細胞HT1080の細胞死誘導効果は低分子化フコイダン単独では容量依存的に強くなることが解ります。白ナタマメ抽出エキスを加えたものではその効果がより強く現れ5%添加では顕著に細胞死を誘導することが解ります。

九州大学大学院 農学研究院 研究報告より


以上のように、低分子化フコイダン療法や低分子化フコイダン+白ナタマメ抽出エキス療法はがん治療の助けとなったり、抗がん剤と併用することで相乗効果や副作用の軽減効果が期待できます。

この治療法に興味のある方は当クリニックまでご連絡下さい。
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土曜日の午前診終了後の13:30から自費診療(30分毎に5,500円)で診察を行います。
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